『あひるのあくび』は、2年生9月の単元です。
日本は、雨と関わりの深い国です。
梅雨という時期があったり、天気雨や夕立などのおもしろい降り方があったり、最近では線状降水帯などの災害につながる雨が注目されたりもしています。
授業アイデア
1.オノマトペを楽しむ
日本語は、オノマトペの多い言語です。
特に、今回の詩のテーマである「雨」は、最も多彩だと言われています。
本文にも、「はっぱに あたって ぴとん」「てのひらの なかに ぽとん」「すみれの はなに しとん」などのオノマトペがたくさん出てくるので、声に出して読むととっても楽しいです。
そのため授業では、雨の音をどう表現するのかについて、たっぷり時間を取って考えると良いでしょう。
授業の流れとしては、
- 詩を視写する(縦10マスのノートだと、1行で書ききれない部分があるので、ワークシートに書かせた方が良いです)
- 一連は「あめあめ」、三連は「あめあめあめあめ」となっている理由を考えさせる…この読み取りだけは外せません。前回2年生を担任した時は、「はじめは小雨(狭い範囲)で、だんだんたくさん降ってきて(広範囲)、いろいろな物にあたるようになったから」という意見が採用されました。
- 雨の音を〇で囲む
- 雨の音の読み方を考え、ワークシートに記入する
- 個人練習
- ペアやグループ、全体の前で発表する
子どもたちは「雨の音」の読み方について、「小さな声で速く読む」「ジャンプする感じで読む」「大きな声で、爆発するみたいに読む」など、一生懸命考えます。
ところで、以前、音読をする前に、一部空欄にしたワークシートを配り、「はっぱに あたって( )」「てのひらの なかに( )」など、( )に入る雨の音を子どもたちに考えさせる方法を試したことがありました。
しかし、そこは2年生。
まだまだ、雨のオノマトペの引き出しは少なく、「ざあざあ」や「しとしと」「ぽつぽつ」のような、ありふれたものしか出てこなかったので、やはり本文を音読し、様々な雨の音に出合わせるところから始めることをお勧めします。
「土台がない所での思考はできない」のだと改めて感じました。
ペアやグループ、全体での発表の後、時間があれば、この詩の型を真似て、一人一行オリジナルの詩を作ってみるのもおもしろいです。
「こうてい(校庭)に あたって ざざん」「くちの なかに ぴちょん」などの、傑作が生まれます(笑)
2.雨以外のオノマトペに触れる
せっかくオノマトペが楽しくなり始めたところなのに、「雨」だけで終わるのはもったいない!
オノマトペは雨以外にもたくさんあることを知ってほしいと思います。
この後の流れは、それぞれのクラスのカラー、雰囲気によって変わります。
以下は、過去の私のクラスでのエピソードです。
夏休み明けの風の強い日。子どもたちがこんなことをつぶやきました。
「風が学校に当たって、ゴーゴーって鳴っとるね」
「今日の風は強くて怖いね。ヒューヒューくらいなら涼しくていいのに」
自然の様子を音で表す。なんてステキな感性なんだろうと思いました。
私は早速、その会話をクラスの子どもたちに紹介し、「雨」の詩で学んだことを元に、「風」の詩を作ることを提案したのでした。
その時できた詩がこれです。
いろんな おとの かぜ
作・2年5組
かぜ かぜ
いろんな おとの かぜ
はっぱに あたって しゅるん
かさに あたって ぴゅん
くさに あたって びゅん
いえに あたって ごーん
うみに あたって ざーん
からだに あたって さらん
かーてんに あたって しゃらん
にんげんの くちに すーん
ぼうしの てっぺんに ふぃん
かべの すきまに ひょん
いえの やねに ばさん
むしの せなかに ひょろん
かぜ かぜ かぜ かぜ
いろんな おとの かぜ
語尾(風の音)が全て「ん」で終わることや、全てひらがなで書くこと、前半は「~に当たって」後半は「~の~に」という表現になっていることなど、詩に隠された秘密も、子どもたちが見つけ、それを元に考えていきました。
風の音もいろいろありますね。
みなさんのクラスでは、どんなオノマトペが聞こえてくるでしょうか。
まとめ
日本語っておもしろいですよね。
こんなにたくさんの自然の音があるのは、世界で唯一と言って良いほど、貴重な言語のようです。
子どもたちには、幼いころから、言葉の面白さ、日本語の良さにたっぷりと触れさせていきたいものです。
コメント