悩める教師の仕事術「個人懇談の心得3選」~学校と家庭をつなぐチャンス~

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個人懇談の心得 3選

 個人懇談。

 それは、先生と保護者の壮絶な心理戦…

 …ではなく、家庭と学校をつなぎ、協力して子どもを育てていくきっかけを作るチャンスの場です。

 とは言え、学校でのがんばりをたくさん伝えよう、心配なところを共有しよう、家での様子を聞いてみようなどと、いろいろ心の準備はしていても、緊張して空回りしてしまったり、こちらが一生懸命話しても、そっけない返事ばかりで良い感触が得られなかったり…なんてこともありますよね。

 そこで今回は、個人懇談を有意義なものにするための心得を、紹介していきたいと思います。

1.保護者とつながろう!

 子どもの成長には、学校と家庭の協力はかかせません。しかし小学校は、保育園のように、毎日保護者と担任が顔を合わせ会話ができるような環境ではありません。保護者と話をする機会は、本当に限られています。「個人懇談で初めて話した」という保護者も多いのではないでしょうか。

 ということは、担任は、子どもの家庭での過ごし方がほぼ分かりません。家庭での様子を知らずして、学校だけで様々な指導をしようとしても、大きな効果は得られません。

 個人懇談は、保護者とつながる数少ないチャンスです。積極的にコミュニケーションを図り、保護者の子どもの教育に関する考え方、ここまでの成育歴、将来への思いなど、保護者が語る言葉に真摯に耳を傾けましょう。【「話す」より「聞く」をメインに】

 そして、最後には、

「お忙しい中、今日は懇談に来てくださってありがとうございました」
「たくさんお話を聞かせていただきありがとうございました。これからの指導に生かします」

など、感謝の気持ちを必ず伝えてくださいね。

 個人懇談では、「学校での様子を伝える場」という固定観念を捨て、「保護者に語ってもらう場」という意識で臨んでみてください。

2.たくさん情報をゲットしよう!

 保護者に語ってもらう中で、子どもについての貴重な情報をたくさんつかみ取りましょう。何が指導の役に立つか分かりません。保護者が話したことは全て覚えておくというくらいの気持ちでいると良いです。

 その子の趣味や特技、好きなアニメ、ゲームなど軽いものから、習い事や生活リズム、宿題の様子、休みの日の過ごし方、家庭での役割など、教育方針が垣間見れるものまで、しっかり引き出していきます。【子どもの全てを知るつもりで】

 ただ、質問攻めにすると保護者も良い感情を持ちません。いくつか情報を得たら、「それなら、学校では○○な場面で活躍できそうですね」「算数の○○の時、そのやり方を真似してみます」というように、学校のどの場面でどのように取り入れていくか、具体例を提案できると良いですね。

 また、話の中で気になった部分へのアドバイスもできると信頼度アップです。

「自分の部屋で集中して宿題ができないようであれば、リビングでお母さんが夜ご飯を作っているのを感じながらやるというのはどうですか」
「習い事があるとなかなか難しいかもしれませんが、宿題をしてから夜ご飯を食べるというルーティンを作るのも一つの手ですよ」

などです。

 そうすることで、保護者もしっかり聞いてもらえていた安心感や、我が子をそこまでサポートしてくれるんだという信頼感を得ることができます。

3.目標を決めよう!

 保護者の語りを聞いていると、保護者が望む我が子の将来像、成長への願い、現状の不安・不満などが見えてきます。

 それらを勘案しながら、学習目標や生活目標などを共有していきましょう。その際は、より具体的なものになると良いですね。

「最近寝るのが遅く、睡眠時間が短いようなので早く寝るよう声をかけようと思います」
「そうですね。早寝早起きを心がけてくださいね」

ではなく、

「脳は、朝起きてから3時間後に活発に動き始めます。そのため、朝6時に起きれば1時間目から集中できますね。低学年は9時間は睡眠時間が必要ですので、夜の9時には寝るようにしていけると良いです」

の方が、具体性がありますね。

 さらに、保護者に積極的な教育への参入を求めていきましょう。

「宿題をしなくて困っているんです。やっていなかった時は、学校でやらせてもらえますか」
「分かりました。その時は、休み時間にさせます」

ではなく、

「家庭学習は、勉強の習慣づけの意味もあります。毎日は難しいかもしれませんが、宿題のチェックをお願いできますか。例えば、音読だけは聞くとか、漢字のノートは毎日見るとか……」

というように、忙しい中でもなんとかできそうなことを提案をし、子どもの成長には、学校と家庭の協力が欠かせないことをアピールします。【教育は学校と家庭が協力して】

 学校だけでできることは限られています。一緒に目標を定め、それの達成に向けて、家庭と学校の両方でサポートしていくことを明確にしましょう。

まとめ

 個人懇談の心得。

  • 「話す」より「聞く」をメインに
  • 子どもの全てを知るつもりで
  • 教育は学校と家庭が協力して

「学校での様子をガンガン伝える」「気になるところの改善策を一方的に提案する」「保護者の要望を全て受け入れる」のではなく、上記の3点を意識して懇談を行うことで、より有意義なものになると思います。




☆アイキャッチの「学校の廊下」の写真は、Unsplashkyo azumaさんが撮影した写真を使用させてもらっています。

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