子どもたちのつまずき
単元に入る前に
子どもは、大人が思っている以上に、時間を気にせずに過ごしています。
「時計を読む」なんていうことも、大人がきっかけを与えない限りほぼ無いと言っても過言ではありません。(学校ではチャイムを聞いて動くし、家ではテレビ番組でだいたいの時間が分かったり、お母さんの指示通り動くから時間は気にしなくても良かったり…)
何時何時半、何時何分という学習は、1年生で行っています。
しかし、子どもたちのレディネスを測ってみると、おそらく「このまま単元に入っても大丈夫かな?」と心配になってくるはずです。
そこで、「時こくと時間」の単元に入る前に、1年生の復習をしておきましょう。どの子がどれくらい理解しているのか調べておくことで、今後の指導の方針が立ちます。
なんじなんじはん(1年生9月の単元)
☆提示用の大きな時計、または、大型テレビモニターに映せて、短針長針が自由に動かせるICT教材を準備。
☆子どもたちは机の上に何も出しません。
「“何時”は、短い針の数字を見るんだったね」
「何時?」『8時』「何時?」『10時』
「短い針が、8にあったら8時、10にあったら10時だね」
「このとき長い針はどこにある?」『12のところ』
「正解!8時ちょうど、10時ちょうどの時は、長い針は12にあるね」
「“半”は、30分とも言って、長い針が6のところにあるよ」
「これは7時半。長い針は6のところだね」
「でも、7時なのに短い針がぴったり7のところじゃないね」『少し8に近づいてる』
「そうそう。長い針が進んだら、短い針も次の数字に向かって進むんだね」
「これは?」『2時半』「これは?」『5時半』
既習事項なので、テンポよく進めます。
全員にしっかり思い出してもらおうと、ここでじっくり時間をとると、子どもたちの集中力は途切れてしまいます。
なんじなんぷん(1年生2月の単元)
☆提示用の大きな時計、または、大型テレビモニターに映せて、短針長針が自由に動かせるICT教材を準備。
☆子どもたちは机の上に何も出しません。
☆この学習までに、「5跳び」が言えるようにしておきます。5、10、15、20…
「“何分”は、時計の小さい目盛りを数えるんだったね。長い針が少しずつ動くから一緒に読んでね」
『8時1分、2分、3分…30分(くらいまで)』
「時計の1のところが5分だね。2のところが10分だね」
「3のところは?」『15分』「4のところは?」『20分』
「そうそう。5、10、15、20ってなってるね。あれ、これどこかで…」『5跳びと一緒!』
「ピンポーン!5跳びと一緒。5跳びで数えて、残りを1つずつ数えると速いね」
「例えば…ここは、5、10、15と、そこから2つ進んで16、17だから17分」
「じゃあ、ここは何分?」『5、10、15、20、21、22、23、24分』
「ここは?」『5、10、11、12、13分』
「次は短い針を見ててね」
「8時1分、2分…57分、58分、59分」
「気づいたことがある人?」『短い針も動いてる』『8時59分だけど、9時と同じ形』
「そう。短い針も少しずつだけど、動いてるね」
「どんな風に動いてた?」『8から9に向かって歩いてた』
→私の学級では、そんな表現をした子がいたので、採用しました。
→子どもの言葉を使うと、イメージがしやすくなるようです。
(短針:歩く、長針:早歩き、秒針:走る)
「8時59分は、あと1分で9時だから、ほとんど9時だね」
「でも、見て。8時59分を、よーく見ると、短い針がまだ9に届いてないんだよ」
『ほんとだ、まだゴールしてない』←これも採用!
「でしょ。8をスタートして、9のゴールテープを越えるまで、ずっと8時なんだね」
「じゃあ、練習」
「これは?」『7時42分』「これは?」『2時19分』
実際に時計を動かして
ここまで、教師主導で確認してから、子どもたちに「算数セットの時計」を出させましょう。
まずは、先生が問題を出します。
「先生が言う時間を作ってください」(本当は“時刻”ですが、未修なので時間と言います)
「9時」『できました』(盤面が先生に見えるようにして、頭の上に乗せる)
→30人ができているかを一瞬で把握するためです。机の上、顔・胸の前では見えません。
→間違っている子、悩んでいる子のところへ行って声をかけます。
「3時半」『できました』
「1分でもズレていたら✖ですよ」『え~(多くの子が慌てて確認する)』
「6時33分」『できました』
「ほんとに合ってるかな?お隣さんと確認!」
→この間に、算数が苦手な子のところに行って指導する。
→全体を動かしてから、個別指導です。
最後は、子ども同士で問題の出し合いっこをしましょう。
ここまで座学でしたので、多くの子が動きたくてうずうずしていると思います。
「教室を歩き回って、たくさんの友達と問題を出し合いましょう」と指示すれば、やる気満々で活動を始めますよ。
そして先生は、学習がしんどい子のところへ行って、じっくり教えます。
まとめ
次の項目ができていない子をしっかりと把握し、次の学習に生かしましょう。心配な子がいる場合は、保護者と相談し、家庭でお願いすること、学校での支援の方法などを明確にしておきましょう。
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