「ああ、とうとう夏休みがやって来る…」
「お昼ご飯の準備がたいへんだわ…」
「宿題ちゃんとやってくれるかしら…」
保護者にとって憂鬱な夏休みが始まります(笑)
でも夏休みは、子どもを心身ともに成長させる絶好のチャンスです。普段できない経験・体験をすることで、感受性、思考力、行動力など様々な面を伸ばすことができます。
そこで、子どもたちの成長を促すために、「夏休みにこれだけはさせたい!」というポイントを、5つにまとめてみました。ご参考いただければ幸いです。
1.目標を決め、計画を立てよう!
①目標を決めよう!
普段、「~をやってみたい」「~ができるようになりたい」と会話の中で出てきていたことを、存分にやらせてみましょう。
「泳げるようになりたい」「なわびで二重跳びを跳んでみたい」「サッカーが上手くなりたい」など、やりたいことを目いっぱいやり尽くすことで、自主性が育ったり、やる気が他のことに伝播していったりします。
その時は、必ず「具体的な数値」を目標に入れてください。
「25m泳ぐ」「二重跳びを1回跳ぶ」「サッカーのリフティングを毎日50回する」などです。
その数値は、「そんなの簡単すぎ!」と思うような数から始め、スモールステップで少しずつ、目標を高くしていくと良いです。「目標を決めた→達成できた→少し高い目標を決めた→達成できた→…」このサイクルが自己肯定感を高めることにもつながります。
②計画を立てよう!
計画は、親子で一緒に立てます。
決めた目標を「いつ」「いつまで」にするのか、やらなければならない“宿題”などを「いつ」「いつまでに」するのか、家族でのお楽しみを「いつ」するのか、などなど、どんどんカレンダーに書き込んでいきましょう。
その日にやること、達成までの期限が視覚的に分かれば、子どもは進んで計画を実行しようと努力します。
注意点としては、子どもだけで計画を立てさせないことです。
夏休みを前にして、子どもの気持ちは大きくなっています。時間はたっぷりある、自分には何でもできると勘違いしています(笑)
ですので、保護者の方が一緒に計画を立て、現実的な案を示してあげてください。また、計画内容を保護者が知っていれば、子どもがつまずいた時、適切なアドバイスをすることもできます。夏休み終盤になって、大きな宿題が残っていた…ということもなくなるでしょう(笑)
計画を親子で立てる時に、小学校から配布されている「夏休みのくらし」(名称は学校によって違うと思いますが、夏休みを過ごす上での注意点が書かれたお便り)も一緒に確認しておくことをお勧めします。
外出する時のルール、留守番の時に気を付けること、お金の使い方など、「夏休みのくらし」に沿って、家庭のルールを確認しておくと、事故や事件に巻き込まれる確率がぐっと減ります。
2.新しいことにチャレンジしよう!
長い休みを利用して、新しいことにチャレンジしてみましょう。普段やらないことからは、特別な刺激を得ることができます。その刺激は、今まで使ってこなかった脳の一部を活性化することにつながり、新しい視点、新しい考え方、新しい感情などを得ることができ、心が大きく成長します。
①施設を活用しよう!
- 博物館…鉄道、アニメ、恐竜、ロボットなどなど、子どもの興味をひく博物館は全国各地にあります。新しい興味を引き出すことにも有効です。
- テーマパーク…たくさんのアトラクション、おいしいグルメ、思い出の写真スポット、おみやげを買う楽しみなど、1日中楽しめます。また、テーマパークは、キャラクターや建物など非日常感が漂っているので、まるで別世界に入り込んだかのような気持ちにさせてくれます。
- 動物園、水族館…生き物の生態を学べるだけでなく、臭い、鳴き声、体の動かし方などを知ることができ、子どもの五感を刺激することにつながります。また、生き物と触れ合えるコーナーでは、エサをあげたり、触ったりすることで子どもの触覚を刺激します。
- ライブ、コンサート…体を揺らし、歌を口ずさみ、道具を使って応援する…。熱気、音圧、息使い、一体感、その場でしか感じることのできないライブ感を肌で感じることができます。
②体験しよう!
- 農業体験、もの作り体験…様々なものの裏側を見ることができます。今まで疑問に感じていた、なぜ、どうしてが解決します。物の開発、動物の飼育などの苦労や願いを知ることは、将来の職業選択にも役立ちます。
- キャンプ…家族の絆が強くなるのはもちろん、協調性、危機回避能力、人間力などが高まります。自然に囲まれて、きれいな星空を見て、感動を共有できます。
- お祭り…地域の祭り、花火大会など、古くからある日本の伝統行事とも言える祭。普段と同じ町並みだけれども全く違う景色、大勢の人が集まり笑顔になる、お祭りは新しい自分を引き出してくれます。
- 旅行…普段の生活圏と違う場所に行くということは、文化や価値観の違いに触れるということです。公共施設を使うことも多く、社会性も培われます。上の学年の子であれば、計画を立てさせてみるというのも良いかもしれませんね。
3.滝のように汗をかこう!
体を動かして、ストレス発散しましょう。運動して疲れると、寝つきもよくなり、良い睡眠につながります。
「近所の公園で友達と鬼ごっこ」「家の庭でなわとび100回」「スポ少のサッカーの練習」も、もちろん良いのですが、せっかくの夏休みなので、こんな場所で汗をかいてみるのはどうでしょう。
①海へ行こう!
熱い砂浜を歩いたり、潮の匂いを嗅いだり、波の音を聞いたり、波にゆらゆら揺られたり、空と海の青さの違いに気づいたり、海の水が口の中に入ってしょっぱい思いをしたり…、五感をフルに活用して、海を感じることができます。そして何より、どこまでも続く広い海は、何にも縛られない開放的な感覚を得ることができます。
また、道具も何もない所で遊び始めると、遊びの工夫が生まれます。砂浜を掘って海水を流し込んでみたり、貝殻集めの競争をしたり、初めてのことに挑戦することも多いと思います。自分はできるという有能感、自己肯定感にもつながります。
②山へ行こう!
登山は、運動機能を高めます。登山者のレベルによって、登る山も選べるので、無理のない山登りをすることができます。
子どもの脳を育てるのは「好奇心」です。自然は子どもの好奇心を刺激します。「あれは何だろう」「何で~になっているんだろう」など、木々や草花、渓流を見たり触れたりすることで、子どもの脳はぐんぐん成長していきます。
本格的な登山ではなく、トレッキングというのも最近は流行ってきているようですよ。
③フィールドアスレチックへ行こう!
走る、飛ぶ、登る、ぶら下がる、すべる、くぐる、など、さまざまな動作を体験できます。これだけたくさんの動きをするスポーツはありません。体全体を動かすことで、どんな時にどこの体の部分をどのように動かしたら良いのかが分かり、バランス感覚や体幹も鍛えることができます。
多くの場合、たくさんの子どもが一斉に遊具を使うことになるので、順番を守る、できない子に教えてあげるなどの社会性や、空いている遊具からするのか、少し待ってでもやりたい遊具を優先するのかといった自己決定の力も伸ばすことができます。
4.たくさんの本に出合おう!
長い夏休み、毎日時間を決めて本を読み、読書習慣をつけることができると良いですね。
読書には様々な効果があると言われていますが、私が大事だと思っているのは、次の3つです。
①想像力を豊かにしよう!
本を読むときは、様々なことを想像します。
場面の風景、登場人物の気持ち、物語の背景などです。さらに言えば、登場人物の声、聞こえてくる音、主人公の部屋にある道具、朝ごはんのにおいや味なども、想像しながら読んでいますよね。
読書をする時は、頭の中でいろいろなことを思い描くため、自然と想像力が豊かになるのです。
また、現実世界では体験することが難しい「死」について、「未来」について、「if」についてなども考えるきっかけを得ることができ、そういう面でも貴重です。
そして、想像力が伸びていくと、他人の思い、考えが分かるようになり、コミュニケーションの力も高まります。
友達の立場を想像できるようになると、折り合いをつけたり我慢ができたりするようになっていきます。そうすることで、トラブルが減り、日々の生活を落ち着いて過ごすことができるようになります。
②集中力を高めよう!
テレビやユーチューブなどの動画を見ていると、次から次へ自動的に情報が目に入ってきます。
テレビを見ている時は、脳はほとんど働いていないと言われています。テレビや動画は、受け身の状態で楽しんでいるからです。
一方、読書はどうでしょう。本を読むというのは能動的な行為です。自分で文字を読んで、想像して、理解して、先に進みます。分からないことがあったら、少し戻って確認し、納得してまた先に進みます。
そのため、本を読むのにはとても集中力が必要です。そして、読書を続けることでその力はぐんぐん高まります。集中力は、粘り強さや忍耐力にもつながります。
いつもの世界から少し離れ、自分のイメージが作った、自分だけの世界で脳をリフレッシュすることが、集中力をさらに高めていくでしょう。
③言語能力を身につけよう!
読書には、新しい言葉を覚えたり、比喩や倒置法などの表現技法を知ることができたりと、子どもの言語能力を鍛える効果があります。もちろん、一冊の本の文字数は膨大で、単語や漢字に数多く触れ、語彙力も伸びていきます。
子どもの心情としては、新しい事柄(言葉)は、誰かに教えたり、使ったりしたくなってきます。そうすることで、さらに言葉の感覚が養われていきます。
そして、言語能力が伸びていくと、読解力も高まります。
言語能力が高ければ、未知の言葉の意味を推理する能力も高いです。言葉の意味がしっかりと分かれば、文脈をしっかりと把握でき、物語全体を理解することができます(←これが読解力です)。
5.家での過ごし方を工夫しよう!
①お手伝いをしよう!
毎日続けられるお手伝いを1つ決めて、それを続けさせましょう。家族の一員として、子どもに役割を与えることで、責任感や自己有用感が高まります。
↓どんなお手伝いをさせようかと悩んだらココ
年齢別お手伝い実践一覧表(PDFファイル)…KIDS DESIGN ASSOCIATION(キッズデザイン協議会)より
②工作をしよう!
工作は、作ることそのものに楽しさを発見しやすいことに加え、集中力も養えます。
ただし、難易度が高すぎると、途中であきらめたり、自己肯定感が下がったりしますので、保護者のアドバイスが必要な場合もあります。
また、お店には様々な工作キットを販売していますが、夏休みにはぜひ、1から自分の力で作る工作にチャレンジしてほしいです。
形、大きさ、色、材料など、自分で選択できることはたくさんあります。設計図も自分で考えます。考える作業を繰り返すうちに、思考力や創造力も磨かれていくでしょう。
③料理をしよう!
料理をする時は、味見、食材を触る、料理のにおい、食材の変化、トントントンの音のように、五感をフル稼働させています。料理は全ての感覚を鍛えてくれます。
また、感謝の心も育つでしょう。
料理はたいへんです。自分も体験してみることで、作る人(お母さん、調理員さんなど)の気持ちが分かります。
さらに、多くの手順がある料理は「小さな成功体験」の積み重ねです。「やってみた→できた」の積み重ねは、自己肯定感を高め、完成した時は「目標を達成できた」という自己有用感も高まります。
まとめ
ここまで、おススメの過ごし方について書いてきましたが、忘れてはいけない一番大事な事があります。
それは、
健康に過ごすこと
です。
早寝早起き、朝ごはん、排便など、生活リズムを崩すことなく、学校に行く時と変わらない生活を続けることが大事です。
ゲーム、スマホのやり過ぎにも要注意ですね。家庭でのルールを徹底し、2学期が始まった時に困らないようにしておきたいものです。
☆アイキャッチの「ジャンプする少年」の写真は、photoACのao10ken10さんが撮影した写真を使用させてもらっています。
コメント