子どもたちのつまずき
導入のアイデア
2年生のこの時期、まだまだイメージする力が弱く、「具体物」を「操作」しないと理解が進まないという子が一定数います。また、大きな数に触れる機会はあっても、それは「1が10000個集まって1万」ではなく、「1万」という一種の記号のような形で頭に入っているようです。このような状態で、授業を進めていくと、最初の会話のようになりかねません。
ここはやはり、「具体物を使って、100より大きい数を数える」ことから始めましょう。
一番良いのは、子どもたちになじみのあるもの(あさがおの種、どんぐりなど)ですが、なかなかこの時期手に入らないですよね。そこで、学校にあって、子どもたちが見たことがあるもの、私は、「クリップ」を使いました。班ごとに300個程度のクリップを渡し、協力して数えます。
「クリップを4人で分け、一人ひとりが数えてあとから足す班」、「数える人、渡す人、記録する人など役割を決めて数える班」、「30個で交代ね、など順番を決めて数える班」、やり方はいろいろあっておもしろいです。
そして必ず、こんな班が出てきます。
「10のまとまりを作って数えている」「10が10個で100を作っている」
1年生の時に学習したことを生かしているのです。そんな場面を見つけたら大いにほめ、クラス全体に広めましょう。
算数は積み重ねの教科です。「学習したことを生かす」ことは、学年が上がるにつれ、重要になっていきます。その考え方を、ぜひ低学年のうちから身につけさせていきたいものです。
→これが、次時以降の位取りにつながります。
まとめ
「子どもたちに、楽しく授業を受けてほしいな」
「こんな教材を使って、こんな活動をしたら興味が高まるかも」
先生は、子どもたちのために、いろいろ工夫して単元を組み立て、1時間ごとの授業を作ります。でも、全ての時間で楽しい活動をしようと思うと、「準備もたいへん」だし、「時間も足りない」し、というジレンマに陥ってしまいます。
そこで、私は、「単元の導入」と「単元の終末」、「単元の展開の中で必要な時」にしぼって、しっかり授業を練るようにしてきました。
子どもたちに知識的なことを教える時は、教科書(指導書)の通り進めれば良いです。
教科書は、本当によく考えて作られています。文章題の「柿が13個実っています。9個とると残りは何個でしょう」の「13」や「9」という数字にも、その数ではないとダメな理由があります。授業の展開の順序、計算問題の配列にも、意味があります。何十年もかけて研究されてきた「算数の指導法のエキス」が教科書にはたっぷり染み込んでいるのです。一般人の私は、その内容を変えるほどの知見は持ち合わせていません。子どもたちに身に着けてほしいことは、教科書の通りに教える方が良いです。
とはいえ、「自分で授業が作りたい!」という思いも成就させたいですよね。そこで、単元の中からいくつか場面をピックアップして、授業を組み立てることをおススメします。「導入では絶対これをやりたい!」「単元の終わりには、みんなでこのゲームをしたい!」など、その1時間に、あなたの思いをぶつけてください(笑)
さて、本題に戻ります。
単元終了後、次のような会話が生まれれば、授業は成功です。着実に、「100より大きい数」が子どもたちの意識に染み込んでいますよ。
☆アイキャッチの「クリップ」の写真は、PixabayのPublicDomainPicturesの写真を使用させてもらっています。
コメント