子どもの行動SOS「兄弟げんかがひどい!」~しっかり抱きしめよう~

アイキャッチ 生活面

兄弟げんかがひどい(7歳男子)

親子の会話1
親子の会話2

解決のアイデア

相談内容

  毎日のように兄弟げんかをする、7歳兄と6歳妹。ここのところ、兄が手を出すようになり、怒りよりも心配が増してきました。

 今日も、タブレットを使う順番のことでけんかがスタート。私は、家事をしながら繰り返しやめるよう注意していましたが…。

 普段は優しいお兄ちゃんなんです。妹が喜ぶことをたくさんしてくれるし、お手伝いもたくさんしてくれます。怒られた後も、落ち着いて話をすると、自分が悪かったことを素直に認め、ここを直さないといけないという反省もできます。

 確かに、妹が生まれてから我慢させることが多かったような気はします。

アイデア① 抱きしめる ←おススメ

 「理解できるまで、丁寧に話をする」
 それも大事ですが、私が一番に勧めたいのは、

抱きしめる!

です。 

 相談内容から察するに、この男の子の行動は、「試し行動」の可能性が高いです。「試し行動」とは、悪いことだとは分かっているのに、「これくらいなら許してくれるかな」「ぼくのことを本当に愛してくれているのかな」と、大人の気を引いたり気持ちを探ったりするために、わざと迷惑をかける行動のことです。

 今度、同じようなことがあった時、彼の顔をよく見てみてください。妹に意地悪をしながら、視線は母親の方に向いているのではないでしょうか。「見て見て、ぼくこんな悪いことしてるよ」「早く止めに来なくていいの?」といった表情で。

 試し行動は、いろいろな理由から引き起こされるものですが、「愛情不足」がかなり大きなウェイトをしめているように感じます。そんな状態の時に、言葉でくどくど話をしても、あまり意味はありません。

 そこで、ぜひやってほしいのが「スキンシップ」です。なぜなら、発達心理学では、「子どもが愛されていると最も強く感じ取る部分は皮膚である」と言われているからです。

 みなさんは、「8秒抱っこ」というものを聞いたことがありますか?これは文字通り、「8秒間子どもを抱っこ(ハグ)する」というものです。8秒というのは「人が十分に満足を感じる最短時間」だそうで、少なくとも「8秒」は抱っこを続けると効果が高いようです。

 皮膚と皮膚が触れ合い、心臓の音を感じ取れる「抱っこ」には、次のような効果があります。

  • 幸せな気分になる
  • ストレスや不安が減る
  • 信頼度が増す
  • 前向きな気持ちになる

 「小学生にもなって抱っこなんて…」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。森のくまさん調べでは、高学年でも4割、中学年で6割、低学年では8割以上の保護者の方が、何らかのタイミングで抱っこ(ハグ)をしているという結果が出ています。

 1日1回でもいいので、毎日子どもを抱っこしていると、だんだん子どもは落ち着いてきます。ぜひ、試してみてください。

アイデア② しっかり話を聞き、親の思いを伝える

 言うまでもなく、一方的に叱るのはアウトです。あれもダメこれもダメと、禁止ばかりでは、子どもにモヤモヤが残ります。このページの始めの会話は最悪ですね(笑)

 また、禁止の言葉ではないのですが、泣いてる子に「泣かない泣かない」、怒ってる子に「そんなに怒らないの」、転んで痛そうにしている子に「そのくらい大丈夫」など、我慢させるような言葉も、子どもに届きません。感情を否定された気持ちになり、不信感が残ります。

 まずは子どもの話を、“口をはさまず”、最後まで聞きましょう。感情を全て吐き出させた後、「悲しいね」「痛かったね」「そりゃ怒りたくなるよね」などと共感し、感情を受け入れるのです。

 そして、最後に自分の気持ちを伝えます。その時は、「アイメッセージ」がいいですね。詳細は省きますが、「アイメッセージ」は、“私が”どう思うかを伝える言葉で、その対義語としての「ユーメッセージ」は、“あなたに”どうしてほしいかを伝える言葉です。

 こんな違いになります。

  • アイメッセージ … おもちゃを片付けてくれると(私は)うれしいな。
    →そっか、じゃあがんばろう!
  • ユーメッセージ … おもちゃを(あなたが)片付けなさい。
    →えー、めんどくさいなあ…

 わざとらしい比較に見えますが、子どもの感じ方はおおむね上記のような感じになるようです。

アイデア③ 本当は仲が良いことに気付かせる

 仲良くしている時に、大げさにメッセージを伝えます。

 「二人は仲良しだね~!」「二人で遊ぶと楽しいね~!」

 お兄ちゃんが妹に物を譲ってあげた時や、妹に読み聞かせをしている時などに、「ありがとう〇〇。お母さんうれしいわ」と、“アイメッセージ”を投げかけるのも良いですね。

 他にも、兄妹が本当は仲良しであることを刷り込む方法として、写真を活用する方法もあります。二人が仲良く遊んでいる写真をよく見えるところに飾っておくと、自然に「ぼくたちは仲がいいんだ」「お兄ちゃんってやさしいよね」という意識になっていきます。

アイデア④ 考え過ぎない

 兄妹げんかで、ケガの危険がある時はすぐ止めた方が良いですが、そうでなければある程度見守ることも大事です。けんかから学ぶこともたくさんあります。

 お互いやりあって、ある程度落ち着いたら、「さ、お買い物に行くからついて来て」とか、「ほら、今日のおやつはドーナツだよ」などと、明るい雰囲気に変えましょう。

 また、一般的に、男子は女子に比べて自己管理能力が低いです(個人差はあります)。男子が同学年の女子に追いつくのは、中学生になってからだと言われます。年子の「兄」「妹」だと、もしかしたら妹の方がいろいろなことが良くできるのではないでしょうか。

 その辺がお兄ちゃんのイライラやジレンマにつながっている可能性があります。でもこればかりは、どうしてあげることもできません。

 だから、あえてスルーすることも「アリ」だと思います。

まとめ

 今回のSOS、私の一番のおススメは、「抱きしめる」です。「8秒抱っこ」ぜひやってみてくださいね。きっと変化が見られると思います。

 子どもの性格や立場によっては、「じっくり話を聞く」「スルーする」の方が合っている場合があるかもしれません。書かれているアイデアを見ながら、「うちの子ならこれが一番合うと思うわ」「この部分だけこっちに変えて試してみようかしら」と、その子に合わせてアレンジし、活用してくださいね。




☆アイキャッチの「喧嘩で髪をひっぱる男の子」の絵は、いらすとやのイラストを使用させてもらっています。

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