先生の気づき
下校班で帰る時、トイレに行っていた らいと君が 遅れて来ました。
語源
1.ありがとう
有り難う
「有り難う」は、読んで字のごとく、「有ること」が「難しい」ことです。
滅多にないこと、貴重なことです。
その貴重なことに対しての感謝の意味を持つようになり、現在は「お礼」の言葉として使われるようになりました。
滅多にないことを(あなたが)してくれてうれしい、そんな気持ちを伝えるのが有り難うです。
つまり、相手を中心とした言葉ですね。
2.ごめんなさい
御免なさい
「免(許す)」に尊敬の言葉「御」をつけて「御免」、「なさい」は「してください」の意味なので、「どうかお許しください」という謝罪になります。
自分の行為を許してほしいと願う、そんな気持ちを伝えるのが御免なさいです。
つまり、自分のための言葉ですね。
似たような使い方をする、「済みません」「申し訳ありません」も、
「済みません」…謝るだけでは済まないことを私はしてしまいました。
「申し訳ありません」…私には言い訳の余地がありません。
と、どちらも、自分のため、自分中心の言葉です。
どっちを使う?
相手中心の「ありがとう」、自分中心の「ごめんなさい」、さて、どっちを使うと良いのでしょうか?
冒頭の会話の「給食台を片付けてくれた女の子」。
彼女は、私に謝らせたかった訳ではありません。私の役に立ちたい、良いことがしたいという思いから行動に移してくれました。
誰かが何かをしてくれた時。
そんな時は、「手間を取らせて申し訳ない」という気持ちが出てきたとしても、相手がしてくれたということを最重要視し、「ありがとう」と言った方が気持ちが伝わります。
では、「友達を待たせてしまった男の子」の場合。
確かに自分のミスで、帰りの会の前にトイレに行くのを忘れていて、出発の直前にトイレに行くことになり友達を待たせてしまったというのは、謝るべきことかもしれません。
自分が謝ってすっきりしたいだけ(「僕がみんなのことを待たせてしまった」という思いだけ)なら「ごめんなさい」の一択でしょう。
でも、子どもたちにはもっと、相手意識を持ってほしいなという思いがあります。
「僕のことをみんなは待っててくれたんだ!(みんなは)なんて優しいんだろう」
という気持ちになったなら、「ありがとう」の言葉が出てくるはずです。
さて、「ごめんなさい」「ありがとう」を伝えた、その後のことを考えてみましょう。
「ごめんなさい」と言った後…
- トイレくらいちゃんと行っとけよ
- 次は気をつけろよ
- わざと遅れたわけじゃねーし
- お前が同じことをしたら、オレ許さんけん
「ありがとう」と言った後…
- ま、そんなこともあるよ
- オレも遅れることがあるかもしれんし
- 次からは気を付けるけん
- みんなが遅れても、オレもちゃんと待っとくけん
ちょっと、偏った書き方をしているかもしれませんが、概ねこのような雰囲気になると思います。
・・・・・・。
「ありがとう」を使いたくなりませんか?
ちなみに、「ありがとう」が言える子は、相手のことをよく見ています。
相手の気持ちをよく考えています。
自分がたくさんの人に支えられていることや、目の前にある小さな幸せに気づくこともできる子です。
まとめ
多くの子は柔らかい雰囲気や、楽しい場所を好みます。そんな周りの友達の気持ちを考えると、「ありがとう」を多用したいですね。「ごめんね」より「ありがとう」の言葉が響く、そんな教室にしていきたいものです。
ただし、「ごめんなさい」が「ありがとう」にはなり得ない重大事件の時は、よく言葉を選ばないと地獄を見ます…。
☆アイキャッチの「笑顔の子どもたち」の写真は、Pixabayのstokpicさんが撮影した写真を使用させてもらっています。
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