いよいよ本番
子どもたちの実態が分かったところで、いよいよ「時こくと時間」の単元に入ります。
※「私の問いに、子どもが答える」というような形式で、授業の流れを書いています。授業を実施する人でないと、何もおもしろくないかもしれません…。
そもそも、「時刻」「時間」とは何か
「時刻」と「時間」を知る
☆教科書の挿絵を拡大したもの(デジタル教科書ならなお良い)、提示用の大きな時計を準備
用語を知ろう!
時刻は、1年生で学習した「何時何分」のことです。
時刻は、物事の「点」です。何かを始めたその一瞬、何かを終えたその一瞬。
「朝起きた時刻は…6時30分(1日が始まったその一瞬の点)」
「家に帰った時刻は…4時15分(歩いて帰ることが終わったその一瞬の点)」
朝の登校風景を見せます。(教科書の絵)
「家を出発する時刻は7時35分です。
学校に到着する時刻は7時50分です。
では、家を出て学校につくまでの時間は何分間でしょう」
これが時間です。
点と点の間の長さ、始めた時刻から終わる時刻までの間のことです。
定着を図ろう!
提示用の時計を使って、みんなで問題を解きます。
「7時35分に出発したよ」
「36分になったら、1分たったってことだね」
「37分になったら、2分たったってこと」
「38分で?」『3分』
「39分で?」『4分』
「40分で?」『5分』
(目盛りだけ動かし、子どもと一緒に時間を言う)
『6分、7分、8分…15分』
「じゃあ確認」
「長い針が35分をスタートして、50分のゴールに着くまで、何分かかった?」『15分』
「ということは、学校に着くまでの時間は?」『15分』
「時間は〇分間って答えるから、15分間と言います」
応用問題を解いてみよう!
提示用時計を使ってみんなで考えます。
「7時から8時まで数えるよ」
『1、2、3、4…』or『5、10、15、20…』or『10、20、30…』(数え方はクラスの実態によって変えてください)
「かかった時間は?」『60分間』
「正解!60分間の別の言い方知ってる?」『1時間』←誰かが必ず知っています。
「すごいねー!60分間は1時間。1時間は60分間なんだね」
発展問題にチャレンジしよう!
ここでも提示用時計で一緒に考えます。
「9時からスタートしてみるよ」『9時10分、20分、30分…60分』
「ストップ。今10時になったけど、ここまで何分間だった?」『60分間』
「別の言い方で言うと」『1時間』
「つまり、9時から10時までで1時間たったっていうことだね」
「同じように、10時から11時までで」『1時間』
「11時から12時までで」『1時間』
「12時から1時までで」『1時間』
「1時から2時までで」『1時間』
「帰って来たのは2時10分だから、余っているのは?」『10分間』
※黒板にテープ図のようなものを書いて視覚化すると分かりやすいです。
「1時間と1時間と1時間と……10分で、合わせて」『5時間10分』
「正午」「午前」「午後」を知る
子どもの困り感(どうしよう…、変だぞ…、困ったぞ…)を引き出します。
何気ない会話からスタート!
『バッタとかいた?』『お花咲いてた?』
「分かんない」『え、何で?』
「だって暗かったから」『昨日は雨とか降ってなかったじゃん』
「うん、晴れてたよ。空には星がいっぱい出ててきれいだった」『(一瞬の間)……なんだ、夜かあ』「みんな朝の8時だって思ってたでしょ」『うん』
「8時って朝と夜の2つあるんだよね」
用語を知ろう!
「1日のちょうど真ん中を正午と言います」
「お昼の12時だね」
「正午より前を午前と言います」
「正“午”の“まえ”だから“午前”だよ」
「午前は、夜中の12時からお昼の12時までのことです」
「正午より後を午後と言います」
「正“午”の“あと”だから“午後”だよ」
「午後は、お昼の12時から夜中の12時までのことです」
定着を図ろう!
時計を動かしながら。
「午前は、夜中の12時スタートだよ。1時、2時…12時。ここが正午」
「何時間だった?」『12時間』
「午後は、お昼の12時スタート。1時、2時…12時」
「何時間だった?」『12時間』
「午前が12時間、午後が12時間だね」
「ということは、1日は何時間?」『24時間』
応用問題を解いてみよう!
『同じ時間が2回ある』
『時計が(短い針が)2周した』
「午前の12時間で1周して、午後の12時間で1周して、確かに2周してるね」
「ということは、朝の8時、夜の8時みたいに、全部2回ずつあるってことだね」
「だから、最初の散歩の話の時みたいに、勘違いが起こるよね」
「どうしたらいいと思う?」
『違う言い方にする』→24時制につながる
『苗字を変える』→午前〇時、午後〇時につながる
『ニックネームをつける』→夜の〇時、夕方の〇時、おやつの〇時など、今までの言い方も使える
子どもって、本当に面白い考え方をしますよね。しかも、それらは往々にして、私が次に教えたいことにつながってしまうのでビックリです。※私は『苗字を変える』がツボでした(笑) 『同じ“なおき”くんでも、石原“なおき”くん、安達“なおき”くんって苗字をつけて呼べば、どっちか分かるでしょ』ですって。
「午前にある8時を午前8時、午後にある8時を午後8時と言います」
「お昼より前が午前〇時で、お昼より後が午後〇時だよ」
大きな時計を動かしながら。
「この時間に夜ご飯を食べました。何時?」『午後7時』
「この時間にミニトマトの水やりをしました。何時?」『午前8時20分』
発展問題にチャレンジ!
「午後の時間は全部、別の言い方をすることがあります」
「15時とかって聞いたことある?」『たぶん、ある』
「午後は、午前の12時間が終わった後にやってきます」
「だから、午後の時間に12時間を足して言う場合もあります」
「例えば、午後3時は、3+12で15時です」
「午後8時は、8+12で20時です」
「じゃあ午後5時は?」『5+12で17時です』
「その反対もあります」
「大きい時間の時は、12を引くと、午後何時か分かります」
「例えば、23時は、23-12で午後11時です」
「13時は、13-12で午後1時です」
「じゃあ18時は?」『18-12で午後6時です』
「12を足したり、引いたりできるのは午後だけね」
「なぜかというと、午後は午前の12時間が終わった後の時間だからだよ」
まとめ
用語の習得は、どうしても教師から子どもへの「一歩通行」になってしまいがちです。でも、それも避けては通れない大切な学習です。体を動かすこと、意見を戦わせて議論すること、頭から煙がでるくらい思考することはもちろん大事ですが、その土台がしっかりしていないとどこかで崩れてしまいます。
基本がしっかりできた上での活用です。
ですが、知識の習得は、子どもたちにとってつまらないものであることは事実です。できるだけ子どもたちが飽きないように、できるだけ子どもたちの記憶に定着するように、テンポ良く、そして時々心を揺さぶりながら、進めていきたいですね。
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