小2体育「水遊び」水に浮く編(だるま浮き~クラゲ浮き~ふし浮き~けのび)

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子どもたちのつまずき

先生と子どもの会話1

…1週間後、体育の時間。

先生と子ども会話2

授業のアイデア

 4年生を担任したときの会話です。

 クロールができない子の多くは、腕の動かし方や呼吸のタイミング、バタ足のやり方などがうまくできていないことが原因だと思い込み、そこに集中して練習をしがちです。でも、実はもっと根っこの方に原因があることの方が多いのです。

 それはズバリ!

「浮く」ことがうまくできていない。

 体育も、算数と同じく積み重ねが大事な教科です。下の学年で習得したことを生かして、新しい動きに挑戦していきます。今回の子のつまずきは、低学年で習得すべき「浮く」ということがおろそかになっていたため、クロールにつなげることができずにいたのです。

 というわけで、低学年のうちに「水に浮く」ことがしっかりできるようにしていきましょう。

 他の県や市町村のことは分かりませんが、私が住んでいる地域では、2年生で「けのびからバタ足をして8メートル進む」ことが目標となっています。これをクリアして、3年生の面かぶりクロールにつなげます。

 ちなみに、1年生は「けのびで3メートル進む」です。「顔付けもまだできない」という子がいる中で、かなり高いところに目標が置かれていますが、中学年で泳ぐことができるようになるためには、1年生、2年生の段階で、ここまではできていないと後が苦しくなります。

 では、早速けのびの練習…をする前に、次のようなステップを踏んでいきましょう。

 だるま浮き → クラゲ浮き → ふし浮き → けのび

※ここまでに、水に慣れること、水に顔がつけられること、水に潜れることは、できるようになっているものとして話を進めます。

1.だるま浮き

 泳ぐときに体に力を入れてしまうのは厳禁です。

 しかし、水が怖い低学年の子は、足をプールの床から離すとき、どうしても力が入ってしまいます。「固くならないよ」「力を抜いて」なんて言っても、子どもには届きません。だって怖いんですもの。それならいっそのこと、がっちがちに体を固くしたまま浮く練習を始めましょう(笑)

 だるま浮きは、いわゆる「体育座り」の形で浮くものです。足は三角、手でガッチャンと鍵をかけた形で浮きます。

 だるま浮きのコツは、

  • 胸いっぱいに大きく息を吸い込む
    始めは、息を止めたままで良いです。徐々に水中で息を吐きながら浮くことができるようにしていきます。
  • あごを引く → 「おへそを見ましょう」と指示します
    背中から頭の先まで、一直線になっていないと泳ぐとき前に進みません。ただ、頭の入れ過ぎには注意です。頭が水の上に出ていてもダメですが、水に潜りすぎていてもダメで、体と頭の先を結ぶ線は一直線です。
  • しっかり補助をする
    浮く感覚をつかむ練習なので、始めはがっしり体を抱きかかえるくらいでも良いです。その中で、1秒手を放してみる、体の一部分だけ支えるなど少しずつ補助を減らし、一人でできるようにしていきましょう。

 浮くことができるようになると、何も言わなくてもだんだん力が抜けていきます。その段階まで来たら、水の中で息をぶくぶくと吐き出すことにもチャレンジさせます。

2.クラゲ浮き

 だるま浮きができるようになったら、さらに力を抜いて浮くことができるようにしていきます。

 それが、クラゲ浮きです。クラゲ浮きは文字通り、クラゲの触手ように手と足をだらんと垂らして水に浮くものです。クラゲのようにふわふわ浮き、水の中を漂います。

 手や足の指の先まで、全身の力を抜き、浮く気持ちよさを味わいます。

3.ふし浮き

 クラゲ浮きでだらんと垂らしていた腕と足を真っすぐ伸ばします。

 手は、片方の手の甲の上にもう片方の手を重ね、腕を真っすぐ伸ばし、耳の後ろまで持ってきます。両腕の中に頭を入れる感じです。頭を“挟む”ではなく、頭を“入れ”ます。この時も「おへそ」を見るよう指示すると良いでしょう。

 足は、両足をくっつけ指の先まで伸ばします。膝が曲がらないように気を付けます。

 体全体が、一本の棒のような形で浮きます。足の指の先、脚、お尻、背中、頭、腕、手の指の先まで一直線です。この線のどこかがでこぼこしていると、前に進まないか、最悪沈みます。

 一直線になっていても、力が入ってしまっている子は、次第にねじれて沈みます。絶対いますよ、体がねじれて沈んでいく子…

4.けのび

 さあ、いよいよけのびです。

 けのびの形はふし浮きの形です。ふし浮きの形を作り、壁を蹴って前に進みます。

 ここで注意!

 子どもたちに「壁を蹴って前に進みましょう」と指示を出すと、子どもたちは、前に進むことに気を取られ、必ずふし浮きの形が崩れます。なぜか、壁を蹴ってジャンプしてしまうのです。

 そこで、この指示を忘れずにしてください。

「けのびの形を作って肩まで水につかります。顔を水につけてから壁を蹴りましょう

 もう一つ気を付けることは、バタ足をさせないことです。壁を蹴るという推進力で、水を切って進むという感覚を身に着けさせるためです。

低学年の「水遊び」のポイント
  • 正しく「浮く」ことができるようにする
  • どの練習でも、体は一直線
  • 間違った感覚を覚えさせない

 → 中学年以降、泳ぐことが苦手な子がいた場合、正しく「浮く」ことができるか確認してみてください。

小学館キッズチャンネルより

まとめ

 けのびは、全ての泳ぎの基本です。逆に言えば、けのびができていないと、どんな泳ぎ方に挑戦しても、泳げるようにはなりません。

 そのため、低学年での指導がカギとなります。

 低学年で正しく浮くことができるようにして、上の学年に上げられると良いですね。




☆アイキャッチの水に浮く子どもの写真は、UnsplashAlexandr Podvalnyさんが撮影した写真を使用させてもらっています。

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